- 2024/05/17公開
こんにちは。今月のブログはこんなお話をしてみようと思います。
2024年4月1日より相続登記が義務化されたということは、ニュース等で聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、
「相続登記」とは?そもそも「不動産登記」とは?
何なのか良く分からないので、少し調べて簡単にまとめてみました。
※法務省 相続登記の申請義務化特設ページより
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法務省のホームページに以下の記載があります。
「不動産登記」とは?
不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。
「登記記録(登記簿)」とは?
1,登記簿は磁気ディスクをもって調製されています。登記所では、所定の請求書を提出すると、だれでも登記事項証明書(登記事項の全部又は一部を証明した書面)の交付を受けることができ、また、だれでも登記事項要約書(登記事項の概要を記載した書面)の交付を受けることができます。
2,登記記録は、1筆(1区画)の土地又は1個の建物ごとに表題部と権利部に区分して作成されています。さらに、権利部は甲区と乙区に区分され、甲区には所有権に関する登記の登記事項が、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項がそれぞれ記録されています。
(1) 表題部の記録事項
土地・・・所在、地番、地目(土地の現況)、地積(土地の面積)など
建物・・・所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積など
(表題部にする登記を「表示に関する登記」といいます。)
マンションなどの区分建物については、その建物の敷地に関する権利(敷地権)が記録される場合があります。この敷地権についての権利関係は、区分建物の甲区・乙区の登記によって公示されます。
(2) 権利部(甲区)の記録事項:所有者に関する事項が記録されています。
その所有者は誰で、いつ、どんな原因(売買、相続など)で所有権を取得したかが分かります(所有権移転登記、所有権に関する仮登記、差押え、仮処分など)。
(3) 権利部(乙区)の記録事項 :抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記録されています(抵当権設定、地上権設定、地役権設定など)。
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上記の説明のように、以前は正に紙の簿冊である登記簿がありましたが、現在は電磁気的記録の登記記録となっています。
以上のことを基にすると、「相続登記」とは登記記録の権利部(甲区)に相続を原因として、所有権登記名義人から相続人への所有権移転登記をするということで、この登記申請が義務になったということです。
登記申請の期限は相続があった事を知った日から3年以内とされており、正当な理由なく申請を怠ったときは10万円以下の過料の対象となります。
なお、登記申請の義務があるのは相続と遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により所有権を取得した者とされているので、遺言で不動産を受け取った相続人でない者(受遺者)は登記申請の義務はありません。
また、期限内に相続登記が困難な場合には、「登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。」という制度が新たに導入されました。この申し出をすれば相続登記の申請義務を履行したとみなされ、過料の適用を回避できます。
ただし、この申し出は所有権移転登記(相続登記)ではないので、後日遺産分割協議がまとまり所有権を得た場合は、その日から3年以内に相続登記を行う義務があります。
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ところで、2024年4月1日より相続登記が義務化されところですが、売買・贈与・代物弁済他の原因の所有権移転登記は義務ではなかったのでしょうか?
実は(と言うほどのことではありませんが)権利の登記申請は義務ではありません。登記申請義務があるのは、表題登記のみです。表題登記というのは法務省の説明にあるように、登記記録の表題部(不動産の物理的現況)を登記することです。
具体的には、新たに生じた土地や新築した建物、表題登記の無い土地、建物の所有権を取得した者は取得の日から1ヶ月以内に登記申請の義務があります。
また、表題部の項目(一部除く)に変更があった場合も1ヶ月以内に登記申請義務があり、それぞれ怠った場合は10万円以下の過料に処すとあります。
では、義務ではないのに(相続登記以外の)権利に関する登記を皆さんほとんど行うのはなぜでしょうか?
(例:売買した場合の所有権移転登記)
その理由はご存じのように民法177条で「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるからです。
対抗とは言い換えれば主張ということでしょうか。よく例としてあげられる二重売買の場合、先に登記をした方が所有権を主張できるということです。
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以上簡単ですが、相続登記義務化について書きましたが、法律や登記の専門家ではないので誤りがあるかもしれませんので、ご容赦ください。
なお、相続登記がされていない不動産の売却の媒介(仲介)を依頼される場合が時々ありますが、弊社は相続登記完了後にあらため依頼していただけるようお願いしておりますので、ご了承ください。
ところで、登記をしていなければ、第三者に対抗できないのですが、一方で登記には公信力がないということも言われており、何か良く分からなくなってしまいますが...その辺のことは、また別の機会に調べてみます。
それではまた。