「あれ、これ、そればかりの毎日でも、今が最高なの。」八ヶ岳スタイル14号
プライベート用にもう1軒中古の別荘を。
念願のカフェが完成し、その隣に住居を建増した。友人の陶芸作品の展示販売でもしようと思って新築したら、まったく知らない人が突然尋ねてきて、ぜひここを貸して欲しいという話になり、現在はカトマンズで仕入れた服を販売する店を開いている人に貸している。
「もともとは登山家の方で、今でもよくカトマンズに行ってますよ。山の好きな人を集め登山ガイドもしてるんです。」本当はご自分たちの住居としてお隣りを建てたが、今ではカフェとネパールの服のお店という個性的な組み合わせで、多くのお客様から支持されている。
カフェは奥様の手作り菓子や生パスタが評判で、食べログでも「こちらのお店、どのグルメサイトにも出ていない。おまけにナビは電話番号でも住所でも検索不可。マダムが作る手作りケーキと生パスタがおすすめ。」など、隠れた評判店として有名。
「八ヶ岳はクーラーもいらないからって決めたんだけど、お客様用には必要でしょ。それに孫たちが来て、夏はバーベキュー、冬はスキー合宿とにぎやか。だから、自分たちだけがゆっくりできるところがやっぱり欲しいわね、と、去年の4月にもう1件中古別荘を買っちゃったのよ。」屋根工事、外壁塗装、断熱工事や居室の増築などフルリフォームした。
「よく言われましたけどね、何でそんなにかけるの?って。気に入った場所に自分たちが住みたいから、ちゃんとしておきたかったのよ。」現在は泉郷で貸別荘として運営している。掃除がいらなく、水道光熱費もかからない、面倒な手間がかからず所有のトータルコストが抑えれらるのがメリット。今は時々友達と泊まりに行く程度の利用をしている。
「食事の準備をして、お風呂に入ってから、パジャマに着替えて、それからお酒と食事をみんなでワイワイしながらいただくの。そのまますぐに休めるのがいいでしょ。」
周辺にはウォーキングや自転車などのトレーニングができ、プールやヨガもある上、温泉も入れる。そんなアクティブなライフスタイルを過ごされている小谷さんご夫妻。
「最近は、二人とも会話の中に、あれ、これ、それが多くなってきて、そろそろ痴呆症かな(笑)なんて言ってるけど、こんなことを言い合っている今がベストなんだと思いますよ。」
今が最高の時、と実感する毎日。
最近のご主人には、お店の名物マスターとしてコーヒーを入れて欲しいというお客様からのご指名の声も多いという。
「気候や体調によって味が変わるのが分かるようになってきました。」と、さすが元薬剤師の経験が生かされているご様子。4月からの畑仕事を前に、現在はお店の裏庭で椎茸の仕込みの準備中。
「駒打ちを孫にさせると喜んでやりますよ。夏にはバーベキューでそれを食べると、美味しいと喜んで食べます。」
野菜作りも3年前から本格化して、無農薬で有機栽培を実践している。
最近は燻製作りも始め、パスタに使うベーコンやハムもご主人のお手製だ。パティシエこだわりの生パスタに、自家製無農薬野菜と手作りベーコン。これを聞いただけで一度は味わってみたくなる。口コミで来店するお客様が絶えない。
お店のテーブルや椅子などの家具は知り合いの家具屋さんで作ってもらったオリジナル。ランチョンマットも友人のトールペイントが描かれている。
そんなオリジナリティのあるお店が、「さろんど・て・ペルル」だ。
そんなご夫妻は八ヶ岳で3軒目となる家を持ち、現在は貸別荘として貸し出しているが、そのことによって、別荘の管理の重要性をますます実感しているという。
「貸別荘の貸料収入は安いけど、毎月の管理は必要だと思いますよ。除雪や道路のメンテナンス、ゴミ収集だって大変ですからね。東京でマンションの賃貸をしていますけど、やっぱり管理費は必要ですよ。これだけ広大な自然環境だから、専門家に管理してもらえなかったら、八ヶ岳の魅力はなくなってしまうと思います。管理も環境を維持する経費だって考えればどうしても必要ですよね。だってこれだけ素敵な大自然の中にいさせてもらうんだから。」
あれ、これ、それと、確かに指示代名詞が多くなる毎日でも、お互いに望むものが分かりあえ、今が最高の時だと実感しながら、また忙しくなるシーズンを前に。
(この記事は2011年のインタビューです)