計画通りに移住完了。これから初めての冬を迎えます。八ヶ岳スタイル20号
ほぼパーフェクトですよ、この家は。
「泉郷さんにHONKAログのモデルハウスがあったので、それを見て気に入りました。二人で暮らすにはちょうどいいサイズ。ゲストが来れば2階の部屋を使えばいいし。」
奥様はほとんど2階には上がらず、2階はほとんどご主人のフリースペースとして普段は使っている。
「こうやって本を読むと天窓から光が入ってくるのでちょうどいいでしょう。眠くなればそのまま昼寝。もうひとつの部屋では大の字になって昼寝できるし、八ヶ岳からの風がちょうど通り道になっていて、夏は気持ちいいですよ。冬になると、葉が落ちてちょうど山が見えるようになるので、これまた最高の気分。」
移住するにあたって、パソコンを持って来るのを止めたご主人は、もっぱら町の図書館に行って本を借りてきては、2階で読書。まさに晴耕雨読の日々である。
「気がメイルってね、会社時代は。メールの多さは尋常ではなかったから、本当に気が滅入りましたよ。山に来たらもうメールからは解放されるし、パソコンもいいかなって。」
新築後しばらくは週末別荘として使用していたが、何年かすると屋根の軒下裏がキツツキの被害がひどくなった。「ちょうどキツツキの通り道なんですかね、我が家の周り数軒だけみたいなんですよ。その修繕のために足場を組んだので、ついでに外壁も全塗装をしてもらいました。また足場を組むのも大変でしょう。」
新築の時はナチュラルな木の風合いを生かしたカラーだったが、ご主人のイメージで深いグリーンに塗装をし直したところ、周囲の自然とも調和してとてもきれいなカラーバランスに。
「冬もこの薪ストーブだけで充分ですよ。真冬の夜中に久しぶりに来た時、冷えきっている建物を急いで暖める時にはファンヒーターを使うくらいで。」
キッチン前のテラスのスペースもお二人のお気に入りの空間。半間くらいセットバックして、軒下になっているので、夏は日差しを遮り、小雨が降っても濡れずにティータイムを過ごせる。そんなちょっとした空間がゆったりした時間を過ごせていいと言う。
「窓の空き方もいい具合ですよ。ちょっとだけ開けて空気を取り入れることができるのでね。雨が降ってもそれほど湿気を感じないのも、ログの木の調湿機能なんでしょうね、ここに住んでみて実感しましたね、木の力を。」
甲斐駒ケ岳の黒戸尾根を登るのが夢。
安曇野で生まれ育ち、少年の頃は毎日常念岳を見て過ごしたせいか、ここに来たら山に登ることも自然に始めたというご主人。
「家内もできるだけ一緒に連れて行ってあげたいんですけど、もう少し経験が必要かな。トレッキングくらいは充分できるようになりました。」
虫が大の苦手だったという奥様も、今ではやっつけられるようになり、少しずつ山へも足を向けるようになってきた。身体のコンディションを整え、生活のリズムも保ちながら、いつかは二人で八ヶ岳に登るのが夢だという。
「ここにいると、朝天気を見て、コンディションのいい時に登ればいいので、週末登山で無理をすることもないし、安全第一で行けるのが何よりいいですよ。」
ご主人は週に一回くらいのペースで近隣の山へ登っているが、本格的な登山計画はまだまだこれから。甲斐駒ケ岳や北岳、登りたい山はいくらでもあり、図書館から借りてきた本を読んでは夢を広げる。そんなことができるのも、ここに移住してきた魅力。
「甲斐駒ケ岳を黒戸尾根から登るのが夢かな。9時間くらいかかるコースですよね。」
そんな夢が叶えられるのもそう遠くはなさそうだ。
奥様も以前から趣味で始めていた籐の籠作りを本格的にできそうだ。秋になったら、山で蔓を拾ってくれば、クリスマスリースなんかも作れるので、楽しみ。
「今年はどんぐりが豊作みたいで、たくさん落ちてきていますよ。来年になったら、そんな落ち葉と庭の草を貯めて作っている腐葉土を使って、キッチン前の庭に野菜畑を作ろうと思います。キッチンの窓からちょうど見えて、キッチンガーデンでしょ。」
約束通りご主人の運転で毎週2回プールに通いながら、少しづつ自然の中に身を委ねて暮らしていく術を身につけ始めている。
管理のことも重要なポイントでしたよ。
「実は泉郷が気に入ったのは、管理体制のこともあります。管理って大切でしょう。ゴミのこと、雪が降ったら除雪してくれるし、木の伐採も。いつもパトロールをしてくれるし、安心できます。那須の別荘地はあまりにも森の中過ぎて、定住するには不便。それと他の定住者との距離感もいいですよ、ここは。」
定住している人も、まだ別荘として使用している人にとっても、日常の管理はやはり大切なこと。特に季節の変化によって自然の影響も大きく、予想もしていなかったこともあったりもする。細萱さんは旅行好きのため家を留守にすることもある。そのため常日頃パトロールしているのは安心だという。
ご主人の運転で、八ヶ岳を拠点にまだまだ暮らしのフィールドが広がり、思う存分お二人の時間を楽しめそうなとても仲の良いご夫妻でした。
(この記事は2012年のインタビューです)