自然の趣あふれる庭を造りたくて、八ヶ岳に移住しました。
夢だった庭造りとさらに新しい趣味も。
移住して8年後に、林になっていた北の隣接地を買い、敷地は230坪ほどになった。緩やかな南傾斜地の中ほどに建つ建物を囲み、東西南北、表情の少しずつ異なるガーデンが迎えてくれる。
「まるで最初からそう設計されているような散策路が作れたので、とても嬉しいです。南側の庭は少し華やかに花や果樹の木を植えてきました。対して北の庭は雑木林の雰囲気も残し、ちょっと野性味のある趣にしています。八ヶ岳の自然と調和した庭ですね。でも、環境に合わない植物もあって。だから今でも日々試行錯誤しながらです。」
近くの花苗店や植木屋で草木を買ってきて、掘って植えて枕木の散策路も自ら作った。穴を掘ったり力仕事はご主人頼み。鳥が運んできた種から花が咲き、樹木が育ち始める。自らが植えたものと自然が育んだもので作られる、まさにナチュラルハーモーニーのような庭に仕上がっている。
「今は密集しすぎているので、今年の夏からは引き算ですね。ベニバスモモはその名の通り赤っぽい葉が魅力の果樹なんですが、自然のままに育てていると全然花が付かなくて。ご近所さんが剪定をした木にはたくさん花が付いているから枝を切ってみたら、それからはしっかり花がつきました。この地区には定住の方が多いし、みなさん庭造りがお好きで、いつも教えていただいています。お互いにきれいですねぇって褒め合いながら楽しんでいます。」苗木や花の交換などで自然と交流も生まれる。「だからでしょうね。どの庭先にも同じような植物が植えられていて、それが八ヶ岳らしいっていう気がします」
実は、奥様はここに来てから始めた趣味が他にもある。
「マンドリングループの演奏会が夏にあるんです。学生時代に少しやってたことがあるんですけど、長年マンドリンを指導している玉井さんと出会ったのがきっかけで再び始めました。それと武術太極拳や押し花、木工小物作りなど、全部こちらで出会った方との縁で始めた趣味です。大阪にいた時は高い月謝が必要でしたけど、ここだと本当に気軽に素敵な体験がたくさんできます。」
お住まいの中は、そんな奥様の作品に囲まれている。
「主人はゴルフ、私は多趣味。お互い違う趣味があって、時々共有しながらも思い思いの時間を楽しんでいます。八ヶ岳に来て本当に良かったと心から思います。やってみなきゃ分からないことばかり。いくら計画を立ててもその通りにはならないこともたくさんあるし、私たちみたいにちょっと無謀かもしれないけど行動に移してみると意外にも新しい出会いが次々にやって来る、そんな楽しい人生です。」
自然をそのまま庭にしたような北側のナチュラルガーデンでは、ひそやかに山野の草花が季節を彩っている。
定年退職の時を待ってましたとばかりに完全移住を果たし、14年以上になる伴様ご夫妻。八ヶ岳の暮らしでは自然と人の縁が広がり、心を豊かにさせてくれる。終の棲家といいながらも、まだまだアクティブな八ヶ岳ライフは続きそうだ。
(この記事は2016年のインタビューです)